2011年9月5日月曜日

資料紹介:モザンビークにおける農業開発

 9月2日に開催された勉強会では、アフリカやウクライナにおける農業投資のあり方、また小規模農家が自給向け農業生産において果たす役割などが報告され、非常に興味深いものであった。
 今回の報告の中でモザンビークにおける農業開発プロジェクトについても触れられた。これまでアフリカにおいても、農業開発が穀物を主体に語られることが多かったが、イモ生産を重視する必要性が指摘された。

 しかしキャッサバをバイオ燃料やその他の工業原料として利用するための大規模生産が進められれば、人々の食料への権利を脅かす危険性はぬぐいきれない。

 モザンビークではJICAによる大規模な農業開発プロジェクトも計画されており、今後のモザンビークにおける農業開発のあり方を検討のために、インターネット上で見ることができる資料を紹介する。資料の詳細はリンクで確認を願いたい。
(この資料は勉強会で紹介されたものではない))

1)JICAプロジェクト関連
①モザンビーク国 日伯モザンビーク 三角協力による熱帯サバンナ農業開発協力プログラム準備調査最終報告書

http://libopac.jica.go.jp/images/report/P0000252732.html

②日・ブラジル連携対アフリカ熱帯サバンナ農業開発協力事業(ProSAVANA)
─ブラジルの「農業革命」をアフリカ熱帯サバンナに移転する─
http://www.jaicaf.or.jp/publications/kyouryoku/vol33_03.pdf
国際農林業協力 Vol.33, No.3 通巻160 号

③ProSAVANA-JBM(日伯モ・三角協力によるモザンビーク熱帯サバンナ農業開発)国際セミナー「モザンビークアグリビジネス~日伯連携協力と投資の機会~」の開催(4月25日)
http://www.jica.go.jp/brazil/office/information/articles/2011/110513.html

④「日本 モザンビーク農業開発協力を本格化 アフリカ農地争奪戦で一角確保?」
農業情報研究所(WAPIC)
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/agrifood/overseainvest/10031801.htm

2)バイオ燃料関連  
⑤アフリカにおけるバイオ燃料製造プラントの普及可能性とCDM化促進調査研究報告書財団法人 国際経済交流財団
(タンザニア及びモザンビークをケースとしている)
 http://www.jef.or.jp/PDF/j21-1-05.pdf

⑥モザンビークにおけるジャトロファバイオ燃料の持続的生産
 研究代表者名     芋生 憲司 (東京大学大学院農学生命科学研究科 教授)
http://www.jst.go.jp/global/kadai/h2201_mozambique.html

3)イモ、キャッサバ関連
⑦自給的作物研究 モザンビークとタンザニアにおけるキャッサバの生産・加工・流通・消費の現状と政策の課題
http://www.promarconsulting.com/site/wp-content/uploads/files/Cassava_Final_Report.pdf
               
⑧モザンビークのキャッサバ転換―東アフリカにおける商品化の動き―
農林金融 2011年7月号 平澤明彦
http://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n1107re2.pdf

⑨変貌するアフリカ・中東の食料需給―高まる食料の輸入依存度―
農林金融 2011年7月号  清水徹朗
http://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n1107re1.pdf

⑩平成22年度 アフリカにおける農業投資拡大のための検討調査 成果報告書
 サブサハラ地域におけるイモ類を対象とした民間投資を拡大するための調査。対象地域はナイジェリアとガーナであるが、参考までに。
  http://www.mri.co.jp/NEWS/press/2011/__icsFiles/afieldfile/2011/04/27/nr20110422_ssu_j.pdf
英文報告書も次のサイトからダウンロードできる。
http://www.mri.co.jp/NEWS/press/2011/2027817_1401.html


 ちなみに、⑦、⑩は農林水産省の委託事業であり、三菱総合研究所は2010年にも農林水産省から「地球的規模の問題に対する食料・農業・農村分野の貢献手法に関する検討調査」を受託し、ブラジルとパラグアイでの調査を行っている。[1]
  これらは日本政府の進める海外農業投資促進のための基礎調査であると考えられる。また「ウクライナにおける農業投資関連情報の調査・分析(平成22年度)」も農林水産省のWEBに掲載されている。[2]
[1]http://www.mri.co.jp/NEWS/press/2010/2017557_1395.html
[2]http://www.maff.go.jp/j/kokusai/kokkyo/toushi/chosa_bunseki.html
  海外農業投資に対する行動指針は、ただ定めただけであり、整合性の確認など行われていない一方で、せっせと農業投資を進めるための調査はしている、そういうことであろう。

 青西

9/16 追記

モザンビーク北部における農業開発には、ブラジルとの三角協力を目指すJICAも深く関わっているが、その思惑を超えるスピードで事態は動いているのかもしれない。

 印鑰氏が9月3日付けでツイッターで紹介している記事によると、モザンビーク政府は北部のNiassa, Cabo Delgado, Nampula and Zambéziaなどの6百万ヘクタールに上る土地をブラジルの農業生産者に提供する用意があるという。この土地でブラジルにおけるセラード開発の経験を活かして、大豆などを生産するというのだ[1] 一方、モザンビークの農業大臣は自分の発言の取り消しに躍起になっているようで、三角協力の枠組みでしかないと説明しているようである。しかしブラジルの農業家はモザンビークへの進出について、「アフリカのマット・グロッソだ」、中国への送料も安くなると乗り気のようである。[2]

 最終的に、日本の円借款でインフラを整備し、JICAのプロジェクトで、(若干?)生産面でのリスクが下がったところで、結局小農民を排除して、ブラジルの資本家が流入してくる、ということになるのではないか。そんな懸念を持つ。
[1]   Brazil: Mozambique Cedes Land to Brazilian Agribusiness
 http://globalvoicesonline.org/2011/08/30/brazil-mozambique-agribusiness/
[2]  José Pacheco diz que a concessão de 6 milhões de hectares a brasileiros é uma má interpretação
http://www.canalmoz.co.mz/hoje/20264-jose-pacheco-diz-que-a-concessao-de-6-milhoes-de-hectares-a-brasileiros-e-uma-ma-interpretacao.html

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