2012年2月8日水曜日

フィリピン バイオエタノールプロジェクトを巡る問題

FoE Japan のサイトに日本の伊藤忠商事などが投資するイサベラ県のバイオエタノールプロジェクトを巡る問題が報告されています。

1)2月7日 【現地報告】未解決かつ拡大しつつある農地収奪・作物転換の現状

http://www.foejapan.org/aid/land/isabela/20120207.html

この報告では、先祖から耕作してきた土地であるにも関わらず、よそ者によって自分の土地が登記され、エタノールのためのサトウキビ生産の契約が結ばれてしまったケースを複数報告しています。

また土地紛争は、最初の事業計画地であるサン・マリアーノ町から、近郊へ拡大、輸出されつつある!とのことです。

伊藤忠などの投資を受け、現地で事業を進めるGFII社とECOFUEL社は、「土地の所有権の法的状況が曖昧であったり、所有権に問題のある土地では、契約しない」 との見解を示し、契約後に問題が発覚したケースに関しては、契約を破棄する方向性を示してきました(2011年6月の国際NGO現地調査団との会合における回答)にもかかわらず、こうした問題が続いていることを、この報告は指摘しています。

2)1月29日 工場建設労働者が正当な利益供与を訴えストライキ

http://www.foejapan.org/aid/land/isabela/20120129.html

この報告はバイオエタノール製造工場の建設労働者によるストライキと労働者の告発を報告している。

204名の労働者が、法的に定められた給与の未払い、不当解雇、不当な契約手続きの強要、正当な社会保障手続きなどを求めてストライキを実施したとのことです。

詳細はリンク先の報告を読んで頂ければと思います。

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 1)にあるような、土地が慣習的に利用されてきた地域で、今回のような開発事業が入ることによって、行政や権力に近いものが土地登記を都合よく操作して、土地を取得するというのは何世紀も続いてきた問題であり、それをまた繰り返すことは許されることではありません。

 また報告にあるように、日本企業側は対応を現地企業任せにするのではなく、自ら現地の状況を把握し、問題解決のために適切に対処することこそ、企業の社会的な責任の取り方であると考えます。法的な擁護を受けにくい農民や先住民族の権利を認め、尊重する方針を明確に示し、率先してその方策を提示し、実現することこそ社会的な責任を担っていくことを意味すると考えます。

 青西靖夫(開発と権利のための行動センター 理事)

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